絶望的なスコア
TOEIC200点台。
それは絶望的なスコアである。
普通の大学を出ている大人ならこう思うであろう。
「今まで何やってたの?」
「どうやって生きてきたの?」
「なんで大学卒業できたの?」
「田舎のヤンキーじゃないんだから」
「普通に勉強してたらバカでも400以上は取れるでしょ」
その通りである。
TOEIC200点台とは、英語を普通に勉強してきた人からすると、もはや同じ人間と認識されないレベルなのである。
TOEIC200点台は実質0点
ここで、TOEICを知らない純粋な人のためにそのテスト形式を少し説明しておく。
※本記事でいうTOEICとは、TOEIC Listening & Reading Test のことである。
TOEICは、リスニングセクションとリーディングセクションの2科目で構成されている。
それぞれ100問ずつで、合計200問。
ちなみに満点は990点となっている。
リスニングセクション(約45分間・100問) 会話やナレーションを聞いて設問に解答
Part 1 | 写真描写問題 6問 |
Part 2 | 応答問題 25問 |
Part 3 | 会話問題 39問 |
Part 4 | 説明文問題 30問 |
リーディングセクション(75分間・100問) 印刷された問題を読んで設問に解答
Part 5 | 短文穴埋め問題 30問 |
Part 6 | 長文穴埋め問題 16問 |
Part 7 | 1つの文書 29問 複数の文書 25問 |
正直、この問題形式はどうでもいい。
結局何言ってるかわかんないし、何書いてるかわかんないからね。
重要なのは、回答がマークシート方式ということである。
そして、マークシートは基本4択、一部は3択なのだ。
問題が全くわからなくてもマークシートを埋めさえすれば、仮にすべて4択として考えても990点満点の4分の1、つまり約250点は勝手に取れるのである。
もちろん場合によっては、同じように適当にマークシートを埋めた場合でも200点以下を取ったり、300点を取ることもあるかもしれないが、期待値は約250点となる。
そう、TOEIC200点台とは、200点という数値こそ出ており何かやってる感はあるが、実際のところは実力では何も問題を解いていないスコアなのである。
これはもはや、0点と同じである。
ちなみに、僕はこの実質0点を5回取得している。(TOEICの受験回数も5回である)
そして最新(2020年1月受験)のTOEICのスコアは、205点である。
補足:
実は、TOEICのスコアは正答数の単純な足し算ではなく、統計処理を加えられて算出されている。これは、テスト毎の難易度による差をなくすためとされているが、肝心の統計処理の中身は公開されていない。そのため、適当にマークした場合の期待値を厳密に求めることはできない。
しかし、過去のデータから予測した正答数とスコアの換算表なるものがWeb上にあり、そちらを確認したところやはり期待値は250~260程度になりそうであった。
TOEIC200点台が試験中に考えていること
1問も解けない
こんなことがあるのだろうか。
まず、マジでガチで1問もわからない。
最初の写真をみて答えましょう、みたいな問題の1問目は微かにわかったような気もするが、それ以降は全くわからない。
延々と何言ってるかわからない(もはや英語なのかもわからない)呪文のような音を聞き続ける時間を過ごすことになる。
たまーに、「クエスチョン」と聞こえるが、それが聞こえたところで何もできない。
そしてみんながマークシートを塗っている音で、「あ、今回答する時間なんだ」と気づくことができる。
そして自分の好きな模様になるようにマークシートを塗ってゆく。
ここで重要なことがある。
リスニングセクション中は、回答する時間ではないのにマークシートを塗ったり、あきらめて寝たりしてはいけない。
なぜなら、マークシートを塗る音や寝息やいびきで、ほかの受験者(TOEIC200点台ではない人たち)の邪魔をしてしまう可能性があるからである。
TOEIC200点台はほかの受験者の邪魔だけは絶対にしてはいけないのだ。
これは、TOEIC以前の人としてのスコアの話なので覚えておいてほしい。
僕はTOEICは200点台だが、人としてのスコアはもうちょっとあると思っているのである。
そう、TOEIC200点台は試験中に己の人間的な部分を育てているのである。
リスニングセクションは未知との遭遇
とにかくずっと何言ってるかわからない。
単語も、最初に言ってるはずの主語も、何もわからないのである。
極端に表現するならば、
「ワーワーワー・・・」
ってずっと聞こえているのである。(マジで)
たまにクエスチョン的な響きは聞こえていたので、
「ワーワーワー・・・クエスチョン・・・ワーワーワー」
であろうか。(いやマジで)
自分だけ耳の構造がおかしいのではないか、と疑うレベルである。
これが、日本語であれば会話の中で知らない単語(例えば、「技術研鑽」)が出てきた場合、
上司「では、来年もこの分野に関してはギジュツケンサンを行っていき・・・」
となったところで、何のことかわからなくても「ギジュツケンサン」という音は聞こえているわけなので、後でいくらでも調べられる。
こうして新しい言葉「技術研鑽」を覚えることができる。
ところが、英語の場合はその音が全く聞き取れない。「ワーワーワー」では検索できない。
しかし、英語という言語が存在している以上、ワーワーワーと言っているわけはないはずである。しかし自分にはワーワーワーと聞こえる。
こうなってくると、もう自分の耳の構造がおかしいのではないか?
ほかの人は聞こえる音が拾えてないんじゃないか?
TOEIC200点台は、こんなことをリスニングセクション中に考えている。
リーディングセクションは静寂との闘い
このセクションはシンプルである。
呪文も流れず、静寂の中で淡々と問題文を読み、解いていくのである。
学生時代のテストと同様、書いてある文章が読めるかどうか、単語を知っているかどうかである。
そのため、シンプルにわかんない。
単語は知らないし、文法もわかってない。
何書いてるか1ミリもわからない。
何とか1問くらいわかるんじゃないかと思って頑張って読もうとしてみるが、もちろん最後まで1問も1ミリもわからない。
時間がもったいないので寝ようかとも思うけど、もしガクッってなって隣の人に迷惑かけちゃいけないと思って寝れない。
TOEIC200点台のリーディングセクションは静寂との闘い。
精神を研ぎ澄まし、己を見つめなおす絶好の機会なのである。
TOEIC200点台には2種類いる
1つは、
英語の勉強をしたことがないから、200点台の人。
もう1つは、
英語の勉強をある程度してきたのに、200点台の人。
である。
1つ目の人は全く問題ない。むしろ可能性の塊である。
英語の勉強を単にやってきていないだけで、一度やってみると意外にはまって急成長し、短期間で英語を習得してしまうかもしれない。もしかすると言語の天才である可能性すらある。
地頭はいいが勉強をしてこなかったヤンキーなどがこれに当てはまるかもしれない。
2つ目の人は、マジでヤバイ。
こいつはマジでどうしようもない。正真正銘のできないやつである。普段の生活から改めたほうがいい。毎日、ポイ捨てされた道端のゴミとか拾わないと普通の人と対等に話したりしてはいけない。
ちなみに、僕はどちらかというと後者よりな雰囲気があるかもしれないのである。
単語を覚える機能が欠落している
脳が英語を拒絶しているのを感じる。
中学生のころから英語を拒絶し続けてきた。そのせいで、僕の脳は英語の音声をすべて雑音として認識するようになったのである。
短い単語であっても一切聞き取れないしそれを何回聞いても覚えられない。さらに、日本語の意味と結び付けられない。
本当に恐ろしいものである。
例えば、
「acquaintance」 意味: 知り合い
を10回以上聞くとする。紙に書いたりして、自分でも発音してみたりして、頭の中でその音と知り合いのイメージを結びつけようとしたりして。色々やって、よし!覚えた!となったとしよう。
次に、
「affection」 意味: 愛情
を同じように覚えようとする。
すると、とんでもなく恐ろしいことが起きていることに気づく。
そう、1つ前に覚えたはずの「acquaintance」が頭からきれいさっぱり消えているのである。
あれ?さっき覚えたのなんだっけ?
a から始まったような気がするんだけど・・・
しょうがないからもう一度音声を聞いてみる。
「acquaintance」
ああ、こんな感じの単語だったな。で、どういう意味だっけ?
そんなわけないだろ!と思うかもしれない。
だが、これが実際に起こるのがTOEIC200点台の人なのである。
これほどの恐怖があるだろうか。
さっきやった作業がすべて無になっているのである。
これを経験するとさすがに心が折れる。
ああ、自分は英語を覚えられないんだと思ってしまい、更なる悪循環に陥ってどんどん脳が萎縮していくのである。
経験がない人には理解できないと思うが、
これが、TOEIC200点台の世界である。